『ヒグチエリ』の刺繍作品の魅力
まるで絵画のよう!手刺繍で作る繊細で奥行きのある色の世界
ヒグチエリさんが作る壮大な刺繍絵。色の揺らぎや重なり、グラデーションがとてもきれい。刺し方も色々と変化をつけることで、奥行きが出て動きのある作品になっています。
小さな刺繍作品も額に収めると、抽象画のような雰囲気。よく眺めていると風景画のようにも思えてきたり...。鑑賞者の想像力を大いに刺激してくれます。
自然を感じさせるデザインと立体感のあるステッチ
周りにある自然のものを作品にすることが多いヒグチエリさんの作品。中でも鳥をモチーフにしたオブジェやブローチは、とても人気があります。淡い色合いがとても柔らかく、穏やかで平和な表情。異なるステッチをいくつも施したり、ビーズなど異素材を組み合わせたり、とにかく手間をかけ、時間をかけて制作していることが分かります。
フレンチノットできゅっと硬い玉にしたリネン糸と小さなビーズの粒。その質感はまるで本物のサンゴのよう。
蓮の花托の不揃いな穴。糸やビーズで凹凸や大きさに変化をつけて。まるで呼吸をしているような生命力さえ感じさせます。
使い手の感性を刺激する自由な作品
ヒグチエリさんの作る作品は、見方や用途を限定しない自由さがあるのが楽しい。カラフルな糸で織りなされる模様のような絵のようなオブジェ。何をイメージして作ったのかな?と思いを巡らせるのも楽しい。
「布片」と名付けられた幾つかの作品群。不思議な形も細かな刺繍も見れば見るほど、惹きつけられてしまう。
さて、何に使いましょう...。こうしてピンをくっつけてブローチのようにしてしまうのも素敵ですよ。
思いを伝える―刺繍で再現する石文ー
昔々、まだ人々が文字を持たなかった時代、石は人の思いを伝える手紙のような役割を持っていたそうです。丸い石、四角い石、ツルツルした石、ザラザラしている石、へこんでいる石...自分の思いにぴったり合う石を探し、相手に送る「石文(いしぶみ)」。内面を見つめ相手を思うプロセスがとても優しい。ヒグチエリさんの「石文」は、自分で見つけてきた石のかたちや質感を刺繍で再現した作品。なんと温かで表情豊かなのでしょう。
唯一無二の自然のかたち
人工的ではない、自然のかたち。だからその時にしか見つからない唯一無二のもの。それを刺繍で再構築するのは、きっとドキドキ、ワクワクするに違いない。石文のブローチにはトキメキがたくさん詰まっているような気がします。
かけらの中にひそむ美しさ
貝殻やガラス片、きれいな石を見つけたとき、少し子どもの頃を思い出しませんか?そこには、何か特別な輝きや引力がありましたよね?ヒグチエリさんの作る石文のブローチは、そんな懐かしい気持ちまでも思い起こさせてくれます。昔の人のように、本当に大切な誰かにプレゼントしてみてもいいですね。
トキメキを与えてくれる手刺繍のアクセサリー
ヒグチエリさんの優しく美しい刺繍は、アクセサリーとしても存分に楽しめます。ブローチ、ピアス、イヤリング...。たくさんの魅力的な作品から、少しだけご紹介します。
物語を紡ぐブローチ
大ぶりなものから小ぶりなものまで、どれも表情豊か!目は惹くけれど、主張が強すぎるということはないので、お洋服に、小物に、バッグに...色んなものに合わせてみたくなるブローチです。
ロングアンドショートステッチが、滑らかな毛並みを思わせるリボンのブローチ。バイカラーの組み合わせ方がとてもおしゃれです。
フレンチノットで作るふわふわもこもこの雲のようなブローチ。絵本の中から抜け出してきたようなかわいさです。
色や素材、ステッチを自在に組み合わせた葉っぱのブローチ。自然の中にあるものに負けず劣らず、とても表情豊かです。
カラフルでかわいらしいピアスやイヤリング
ポップなカラーとコロコロした丸いフォルム、そして糸の質感がかわいらしいイヤリング。どれも色がきれいなので、迷ってしまいそうです。
20世紀の抽象彫刻の先駆者とも言われる彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシ。ヒグチエリさんが、彼の代表作「空間の鳥」から着想を得て作ったのは、羽のように軽く、鳥のように自由に空中を浮遊しているようなピアス。ミニマルだけど、大いに想像力を刺激してくれるのが嬉しい。しなやかにおしゃれを楽しむ大人の女性に、とてもよく似合いそうです。
糸やビーズを使って、色彩豊かで詩的な刺繍作品を作るヒグチエリさん。ゆっくりと言葉やイメージを紡ぐように作られる作品は、どれも自由で伸びやかで、やさしい。手仕事の痕跡の上に広がる世界に思わず魅せられてしまいます。